#1《版画》より第3曲〈雨の庭〉/ドビュッシー

季節の音楽ずかん
はぶき りさ 2026.06.26
誰でも

こんにちは、はぶきです。

本日から、theLetterで連載をスタートすることにしました。その名も、「季節の音楽ずかん」。

「タイパ」や「ドパガキ」などの単語に象徴されるように、最近のコンテンツには展開の速さと効率化が求められています。しかし、前書きや後語りのある、いまの時代「冗長」と呼ばれてしまうようなコンテンツにも、そこにしかない魅力があると、私は思います。

ということで、他メディアでは戦略のために省かれてしまうような文章も、この連載、というかこのtheLetterで書く記事では、モリモリ入れていきたいと考えています。よろしくお願いしまず。

さて、宣言通りの長い前置きをしたところで、そろそろ曲に入りましょう。

ドビュッシーのピアノ曲集《版画》は、1903年に完成し、翌年に初演されました。《版画》は第1曲〈塔〉、第2曲〈グラナダの夕べ〉、第3曲〈雨の庭〉の全3曲から構成されており、それぞれが別々の国の音楽をテーマに作曲されています。

さっそく余談ですが、ドビュッシーはこの曲が初演された年に銀行家夫人と駆け落ちしています。ちなみに当時の時点でドビュッシーも既婚者なので、奥さんを捨てて家を出ています。何をしてんねん(現代日本人女性の感想)。

話を戻しましょう。私がこの梅雨の時期にいつも思い出すのが、第3曲〈雨の庭〉です。この曲は、2つのフランス童謡からインスピレーションを得ています。

私がこの曲を気に入っている理由の一つに、「文化の違いを感じることができる」ということが挙げられます。これは私の予想ですが、おそらく現代の日本人が「雨」をテーマに作曲しても、このような曲にはならないと思うのです。

「雨」とは何か? 令和を生きる日本人である私が思い浮かべるのは、「ジメジメとした梅雨」「南からやってくる台風」などです。そう、ちょうど今日の東京みたいな。ちなみにこの週末も雨だそうですよ。

我々のように温暖湿潤気候で育った人間からすると、雨は湿度の高さを連想させます。しかし、この曲にはそういった湿っぽさがないのです。どちらかといえば、「カラッと晴れた日にシャワーで水を撒いていたら虹ができました」みたいな、爽やかさがあるように感じませんか?

私のイメージはこんな感じ

私のイメージはこんな感じ

この爽やかさこそ、ドビュッシーがフランスで見てきた雨なのだと思います。突然降り注いだ雨は、まるで打ち水のようにパリの街を冷やしたことでしょう。

もちろん、私は技術的にドビュッシーの足元にも及ばないような作曲家ですが、何よりこの気候の違いを感じる表現を聴くたびに「ああ、この曲は私には書けないな」と思わされます。だがそれがいい。

というわけで、連載第1回目はこれにて終了です。内容がフワッとしすぎかとも思いますが、ソースが明確な話はすでに多くのメディアにて議論されていると思うので、まずは私が感じるその曲の魅力を、私の言葉でお届けする形にしようと思っています。テキトーなことを言いすぎて先生方に怒られたらやめます(やめない)。

逆にいえば、それまでは季節に合わせた音楽の紹介を、余談モリモリで続けていこうと思っていますので、今後もどうぞお楽しみに。それでは、また次回。

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